がんばる人

山田清昭さん
(内子町/旧:五十崎町)

竹材業を営みながら、隣町の芝居小屋内子座の応援団「ふれだいこ」では興業宣伝用のポスター製作を担当。もともと絵心のあった山田さんは、独学の版画(シルクスクリーン)の技法と地元五十崎(現:内子町)特産の大洲和紙を使ってレトロな温かさを表現しています。


●内子座の「ふれだいこ」とはどういったグループなんですか?
内子座にですね、中央の演劇ですよね、内子座で招致して、それでまあ、地元の方々、当然僕らも見たいという、そういうなにか、つなぎ役いうんですかね。そもそもは、今でもそうなんですけど、道楽めいたことから始まって、それがかなり大きくなってきたいう。負担になってきた部分もありますけど。だから、別に肩肘張ったような会じゃないんですよ。
●「ふれだいこ」はどういうきっかけだったんですか?
僕らが一番最初に公演したときに、11人くらいが集まって。だから、名前も結構苦心して作ったんですけど、もうその1回ぽっきりのつもりだったんですよ。最初はね。
●ポスターもつくっておられるわけですよね?
ポスターいうのは、もう・・・一つの、どういうんですかね。宣伝物であるわけですよね。その中で、当然なくてはならない代物なんですよ。ポスターはね、ちょうどあちらの方(その時、公演に参加してくれた役者さん)が、「ない」ということなんで、僕らがそしたら作ろういうことになって。そうすると、和紙が地元にありますよね。大洲和紙いうても、五十崎(現:内子町)だけにしかないんですけど。その大洲和紙と、和紙に似合うのは版画かな、と。だから、印刷いうても大変でしょう。版画を作ったら200枚くらい刷れるんやないかな、と。そっから始まったんですよ。

●ほんとに版画を刷ったわけですね。版画の作品を印刷したわけじゃなくて?
違うんですよ。和紙がありますから、その和紙を十分引き立てよういうことで。そうするとね、僕が絵心がありましたんで、お前がやれと(笑)。で、当然ね、版画なんて知らないんですよ(笑)。
●版画そのものが初めてやったわけですか?
版画いうたらもう木版しか思い浮かばないでしょ。そら、エッチングとか銅版画とかいろいろあるらしいですけど。で、すごく安易に考えとったんですよ。版木買ってきて、彫刻刀でぐじゅぐじゅぐじゅと削ったらええな、という。で、画材屋に求めに・・・モチーフができて、文字なんかも決めて、んで、画材屋に行ったんですよ。そしたら、画材屋さんが「木版画でやるいうたら、相当しんどいよ。10枚、20枚くらいやったらイヤにならんかもしれんけど、200枚するいうたら大変ですよう」て。そうすると、シルクスクリーンの方がええんじゃないかという指導を受けましてね。

※シルクスクリーン:
絹布などの細かい編み目越しにインクを紙にのせる方法。年賀はがき用として重宝がられる某家庭用プリント機の印刷方法も同じ方法。

●結局シルクスクリーンでやられたんですか。
今でも、そうなんですけど。で、それが何が何やらさっぱりわからんので教えてくださいと言ったんですけどね。その画材屋の人もやったことない言われて。だからもう売るのは売るけど、指導はできないって。で、木版とは全く違うわけですからね。反転を考えんでもええのが利点ですけど。で、僕が始めたのが切り抜きなんですね。だから、切り絵調の絵柄になってますよね。だから、それは貫いてるんですけど。だからもうテキストみたいなんをもらって、とりあえず材料だけいれてもらって。ほやから、最初はねえ、版もずれるし、で、あの、身詰まり起こすでしょ。出なくて大変でしたね。目が詰まってね、使い物にならんなって、もういっぺん作ったこともあるんですよ。
●独学みたいなもんですか。
そうそう。だから、おそわったわけじゃないですから、正規でやってる人が見ると、なんじゃこれはという風に思われるかもしれんけど。でも、もう10年やりましたからね。

●一つの行事に何枚刷られるんですか?
200枚ですね。で、一番多い時には300枚刷ったこともありますけどね。それが限度ですね。
●そこまでやられてますと、イラストとか版画やったりポスター作ったりすることが半分趣味のような感じになりますか?
趣味ではないですよー。だから、どういうんですかね。一つの任務いいますか、役割いうんですかね。「ふれだいこ」は今7人いますけど、それぞれに会計がいたり、宣伝するものがいたりとか、やっぱ、分担してますからね。僕はポスター制作いうふうに、役割があるんですよ。

●一種のボランティアですね。
いや、ボランティアいうんとはまた違うんですよ。これは道楽なんですよ。ボランティアいうたら奉仕でしょ。僕ら奉仕してるわけじゃないですからね。僕らはなんというか、自己満足の世界ですかね。だから、よく言われるんですよ、町づくりしてるとか、ボランティアしてるとか、だから、全然そういう気持ちは毛頭ないし、自分らが楽しむためにやってるわけですからね。ま、結果的につながれば本望ではあるんですけど、まあ、最初っからそういうてらいはないんですね。ええかっこするわけじゃないんですけど。
●「ふれだいこ」の活動そのものが楽しみになってるんですか?
まあ、なんいうんかね、趣味・・・と結びつくところもあるかもわからんですけど、やっぱりお金かかりますからね。趣味じゃないと思うんですよ。赤字出たら、みんな折半です。15万くらい出たこともあるんですよ。メンバーで。


●ところで、ポスターの作品は何点ぐらいになるんですかね。
50枚以上あるんじゃないですか。60近いんじゃないですかね。
●じゃあ、メンバーの方は、それ全部持ってるいうわけですか。
そういうことです。 羨ましいなあ。正直言いまして。
ほやけど、熱心な人はねえ、全部持ってるいうのはいないと思うんですけど、かなり・・・9割くらい持ってる方はいますよ。内子の方に。だから、あの、当初は販売してなかったんですよ。もう掲示してあるものが、芝居がはねたら、はいで帰ってええんで。

 

●今は売られてるんですか?
ええ、そういう要望に応えるために。そのかわり、原価ですよ。ほとんど原価。材料代。紙代とかインク代とか、印刷、手間賃。1000円で販売してるんですよ。あんまり本意じゃないんですけど、ただそういう要望が、3年目か4年目くらいからあったんですよ。今は、だいたい販売できるのが30枚から40枚・・・50枚までだと思うんですけど。1000円だから、30枚売れたら3万円でしょ。だから、それでお酒を買うんですよ(笑)。打ち上げの。
●次の材料費とかいうんじゃないんですね(笑)。
とにかくね、飲むためにやってんですよ。潤滑油です(笑)。


●シルクスクリーン版画(山田清昭さんの作品)
春日の内子座
『春日の内子座』
(内子町・1997)
    おおず赤煉瓦館
『おおず赤煉瓦館』
(大洲市・1997)

編集者感想
山田さんは、「まちづくりとかボランティアとかではなく、道楽だ」と言われます。また、レトロオートバイのレストアもかなりのハマリようだそうで、これには奥さんも、困っているというよりあきれ顔?でもその肩ひじ張らない姿勢、何かに夢中になる少年の心がのびのびした温かみのある作品を生み出しているのではないかと思いました。