がんばる人

熊谷 進次郎さん(西予市/旧:野村町)
今年4月、野村町(現:西予市)に移り住んできた熊谷さんは、手作りにこだわった「惣川焼」の完成を目指しています。

●熊谷さんは、九州ご出身だそうですね。
そうですね。北九州市出身です。
●今年の春まで陶芸の修行をされていたそうですが、その経緯などを教えて貰えますか?
小学校上がる前、3歳くらいの時に近所の陶芸屋さんに行った時から「いいなぁ。この仕事したいなぁ。」と何となく思ってまして、小学校6年生くらいまでにはもう決めてました。
●そんな小さい時から決めてたんですか?
はい。それで、中学校卒業と同時に美術の先生の薦めで北九州市の小石原村っていうところの窯元に弟子入りして、今年の春まで住み込みで8年間修行しました。
●中学校卒業の時には全然迷わなかったんですか?
そうですね。もう小さい時からやりたかったことだし、ろくろは回せば回すほど上手くなるので、高校3年間行って時間を無駄にするのはちょっと違うかなと思って。
●その修行の期間というのはどういったことをやりましたか?
焼き物の勉強の他にも絵付けの勉強なんかもしました。そこの窯元は、絵が綺麗なことでも有名な所だったのですごく勉強になりましたね。お金がなかったので、小遣いを稼ぐためにその辺で似顔絵を描いたりもしてましたね(笑)。あと休みも全然なかったですね(笑)。
●修行って言うのは最初から8年間の予定だったんですか?
いや、別にいつ辞めてもよかったんだけど(笑)。辞める時には結構止められたりもしたんで迷ったりもしましたけど、実力もあるし、若いうちに独立出来るんだったら独立しておいた方がいいかなと思って。全然お金はなかったんですけどね(笑)。窯作ったりとかするのにやっぱりすごくお金が掛かるんですよ。で、「バイトでもしながらお金貯めようかなぁ」とか考えてて。でも運は味方してくれるもんで、最近実家が引っ越ししたんですね。その引っ越した家の真裏がレンガの卸ししてる所で(笑)、卸値でレンガ1200個くらい買えて。だからこっちに来てすぐ窯が作れたんです。
●窯っていうのはどこか業者に頼んで作ってもらったんですか?
いや、自分たちで作りました。叔父さんと僕と3人くらいで。叔父さんが建設会社で働いてるんで、そこで重機借りてきて。春には木の皮をはいで屋根作ってましたね(笑)。
●土も野村町(現:西予市)の土を使ってるんですよね。
そうですね、修行中には夜自分の好きなものを作れたんで、いろんな所から土を持ってきては焼いてたんですね。それで数少ない(笑)休みの時にこっち(母親の実家である野村町(現:西予市)惣川)に来て、土を持って帰ったんです。それで焼いてみたら、色が黒くってなんか「かっこいいなぁ」と思って(笑)。〜(ここで小学生登場)〜お客さん来とるなんて珍しいやろ(笑)?〜(小学生退場)〜
●(笑)どうして小学生が・・・。
いや、こっちに来た時に近くの小学校で、地元の農業してる人とかを呼んでいろいろ教えてもらうっていうのがあって。それに僕も焼き物してるっていうので呼ばれたんです。その時に仲良くなって、それからちょくちょくここに来るようになりましたね。
●そうなんですか。
子どもって突拍子もないこと突然言ったりやったりするじゃないですか。そういうのも勉強になるかなと思って。だから子どもの気を引くために(笑)絵を書いてあげたりして。
●なるほど。どうしてこっちに来ることにしたんですか?
ここが母方の実家だったのと、土が良かったのと、それと・・・お金もなかったので(笑)。
●(笑)地元の土を使ってみて、苦労したこととかありますか?
そうですね。色が黒いって言うのはかっこいいんですけど、鉄分が多いっていうことでもあるんです。鉄っていうのは熱に弱いので、熱しすぎるとドロドロに溶けちゃうんですよ。そこの所をクリアするために「何をどれくらい入れればいいか?」っていうのを考えて実験するのが大変ですね。せっかく地元の土にこだわってるんだから、混ぜるものも出来るだけ地元で見つけられればいいかなと。あと、窯とかもそうなんですけど、使ってる道具ほとんどが手作りなんですよ。このろくろもスケボーを改造したものだし、上薬(焼く時に上にかける薬)も、ガラスを砕いてパウダー状にするところから自分でやってますし。買ってくれば安いんですけどね。
●せっかく手作りするんだから徹底的にこだわろうということですね。
ゼロから作った方が本当の陶芸家っぽいかなと(笑)。まぁ、土をこねる機械なんかはこっちに来る時に知り合いからもらったんですけど。
●え?そうなんですか?
運って味方するんですね(笑)。こっちに来る時に必要なものはほとんどタダ同然で手に入りました。だからせっかくなんでもう始めようと。若いのにこんなチャンスに恵まれるってそうないですからね。
●では、作品としてはこれからどういったをもの作っていきたいですか?
食器・・・、とかはあんまり作りたくないですね。今はとりあえず子どもでも分かるものを作っていきたいですね。抽象的なものも興味はあるんですけど、とりあえずは分かりやすいものを作っていきたいです。あとは突拍子もないことですね。焼物の団扇とか(笑)。絵も得意なんで焼物に絵を入れてもいいんですけど、最近は「静と動」のバランスを考えると、絵は入れない方がいいのかなぁと思って。だから今はシンプルなものを作りたいですね。まぁ、人間の趣味なんて変わっていくものだから、分からないですけどね。そのうち全然違うもの作りたくなるかも知れないし。
●じゃあ、「惣川焼」を作るのがとりあえずの夢ですね。
身近なものを利用してそういうものが完成すればいいですね。今はまだ試行錯誤してますけど。時間は掛かると思いますけど、いろんな人が応援してくれてるんで「お金がない」というのを言い訳にせずにやっていきたいですね。
●それでは「惣川焼」の完成を楽しみにしています。がんばってください。今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。



編集者感想
若くして陶芸家の道を歩き始めた熊谷さん。地元のものを使って新しい焼物を創り出すために毎日がんばっています。つかんだチャンスを逃がさず、いつか必ず「惣川焼」を完成させてくださいね。