内子町地域おこし協力隊 水谷円香さん(内子町)

──今回は、内子町の御祓(みそぎ)地区で地域おこし協力隊として活動している水谷円香さんにお話を伺います。

──この地域について知ったきっかけはなんですか?

 棚田のオーナー制度を知って、参加したのがきっかけです。もともと移住先を探していて、ネット記事で内子町の石畳を知り、初めて内子町に来ました。

 最初は石畳地区で貸してもらえる空き家を探していたのですが、なかなか見つからず、石畳にこだわらず別のエリアも見てみよう、棚田も行ってみたいな、と思いオーナー制度に参加しながら、地域とのつながりを作り、空き家を探していました。その頃にいいタイミングで協力隊の募集があったので応募し、2019年2月に着任しました。

─―なぜ移住しようと?

 ずっと埼玉に住んでいましたが、学校や仕事などは都内に通っていました。でも自分の中でその生活が腑に落ちない感じがあって、もっと地に足がついた暮らしがしたいと思い移住先を探すようになりました。もちろん突然移住を思い立ったわけではなく、いろんな場所を旅行したり、知り合いのつてで田舎に一週間滞在させてもらったり、いろんな人のところを回っていく中で、自分の価値観が作られていった感じです。

──こちらでの生活はいかがですか?

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 生活は180度変わったのですが、自分でもびっくりするくらいすんなりと馴染めました。両親も何度かここに来てくれましたが、内子町をとても気に入ってくれてて、こっちに移住してきそうな勢いです。

 もちろん、都会での生活に比べたら田舎暮らしならではの大変さもありますが、それが全然嫌じゃないんです。都会で暮らしていると、便利ですぐに何でも手に入るし、何でも揃うけど、それがどこから来たものなのか、どのように作られたものなのか実感を伴わないで、金銭のやり取りだけで得たもの、という感じなんです。でもここでは○○のおばちゃんがあそこの畑で作った野菜というように目に見える。自分の暮らしがどういうふうに成り立っているのかを実感しながら暮らせることが魅力です。ここは不便だし、やることがたくさんあって忙しいけど、それが充実感になります。

 また、町内には同年代の移住者や同じような気持ちで活動されている仲間は結構いて交流もありますよ。

──さて、いまは「みそぎの里」というとこで取材中ですが、こちらはどんな施設ですか?

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 ここは平成25年度に閉校した旧御祓小学校の校舎です。閉校したこの場所をカフェとして活用していこうということになり、自治会の方が「コミュニティスペース『みそぎの里』」として2年くらい運営されていました。

──今どんなお仕事をされていますか?

 私の協力隊としてのミッションが「御祓地区の活性化」だったので、まずこのカフェをうまく活用していくことに取り組み始めました。ここの運営が現在の私の仕事のメインになっています。

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 今は月2回のカフェ営業と、2020年に入ってから始めた月に1回の地域向け宅配食サービス、そしてここで採れたお米の販売を始めようとしているところです。

 宅配食サービスは、この地域の独居の方やご希望の方に、「みそぎの里」で作られたお弁当を配るサービスです。今後は校舎の使われていない部分も活用していきたいのでそのための体制づくりもしています。

──素敵なピザ窯もありますね。

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 このピザ窯は「みそぎの里」をオープンさせるにあたって作られたものですが、イベント以外に出番がなく、もっと活用したいと思っていたところでコロナ禍になってしまいました。

 最近では、御祓地区の子供たちも通っている天神小学校の子供たちが親子遠足で来てくれて、ピザづくり体験の受け入れをしました。残念ながら屋内の調理施設ではないので、カフェのメニューに入れることが出来ないんです。窯を温めるのに時間がかかるし、薪もいるし、ピザ生地を作るのに時間もかかるけれど、イベントだけでなく予約制の体験のメニューとして取り入れて、楽しんでいただけるようにしたいと思っています。

──では、カフェの中へ。わー、とてもおしゃれな店内ですね

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 営業日には向こうの棚に直売用の野菜がずらーっと並びます。ここはもともと職員室として使われていた部屋で、小学校で使っていたイスなどもそのまま使っています。営業日も少ないのですが、一日のご来店は平均すると50名くらい。


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ランチ

 メニューは、「季節の定食」と「うどん」のみ。定食は毎回献立が変わり、その時々にある旬の野菜を使っています。秋には芋炊きもメニューに入っていて、この辺りではくずしを各種入れますね。里芋・こんにゃくのほかにかまぼこ・ちくわ・じゃこ天・・・それぞれから出汁がでるので美味しいですよ。毎回内容が違うのでリピーターさんも多く、みなさん楽しみに来てくださっています。また、こちらでは「東川の水」といって山から湧き出ている湧水を、コーヒーやお水としてお出ししています。味の違いが分かる方は「美味しい」と言ってくださいます。

 2019年5月のリニューアル後から定食を出すようになったのですが、その時に内装もこだわって改装しました。地元の方に切り出していただいた青竹を焼いて、あえてムラをつけ、味のあるライティングレールにしています 。小学校の雰囲気も残しつつ、手作り感を出しています。調理場は更衣室・印刷室・給湯室をつなげて厨房にしています。

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 野菜以外にも手作りのアクセサリーなどのクラフトグッズ、加工品、クッキー、乾きもの、など販売しています。棚の上に乗りきらないほどたくさんの商品を置きますが、毎回完売していますよ。新鮮な朝採れ野菜が直売所よりも安く買えるので、ランチの席を取るより前に野菜を確保される方もいらっしゃいます。月に2回と回数が少なく、回数を増やして!というお声も多いのですが、一緒にやっている地元のスタッフの皆さんはお仕事を持たれていますし、その中で負担にならず楽しんでできる頻度となると月2回がちょうどいいペースになってしまうんです。

──お米の販売も始めるということを聞いてきたのですが。

 御祓地区は里山の風景が魅力ですが、高齢化も進み、後継ぎがいないところもあります。どうにかこの風景が長く続いていくためには、やっている人のモチベーションや収入が必要になります。そのために、これまで農家さんたちが安い価格で知り合いに売るだけで、外に向けて販売されていなかった地元のお米を、今までより少し高い価格で買わせてもらい、小分けにパッケージングをして商品化し、販売しようとしています。

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みそぎ米

 ブランド米のように味や見た目で勝負はできませんが、御祓の美味しい水で育ったお米はカフェでも好評なので、2021年の1月か2月頃から販売開始できるよう、独自のオンラインショップを立ち上げているところです。

──今後はどのような活動を考えていますか?

 私自身も棚田を借りてまだ2年ですが、お米作りをしています。一人でするにはちょうどいい広さですが、毎日水の具合を見たり、草を刈ったり、やってみて初めて分かる大変さもあります。今取り組んでいることは地域おこし協力隊の任期が終わっても継続していきたいですね。

 カフェは収益よりコミュニティ重視の事業なので、お米をはじめとした販売事業や、地域の拠点施設としての校舎活用に取り組んでいこうと考えています。商品にしたいもののアイディアは既にいくつかあって、今後収益事業としていろいろなものを組み合わせられるよう種をまいているところです。

 このカフェに少しずつ賑わいが生まれ始めているな、という実感があるので、継続していくことが大事なのかと思います。最近はちらほら「いい空き家はないか」とここに引っ越して来たいという方から相談を受けるようになったので、そういう人たちに地域に入ってもらって仲間を増やして、活動の幅を広げていけたらいいなと思います。

──読んでくださる方に御祓地区の魅力を教えてください。

 移住してきて思うのは、御祓はどこもとても魅力的だということです。
 車で走っていると、初夏の田植えから秋の収穫までの田んぼの風景の移り変わり、家族総出で作業をしている様子、特に、稲木がずらーっと立ち並んでいる景色は圧巻で、『里山が生きている』と感じられます。生活と密着しているこの風景が少しでも長く続くように、皆さんの暮らしを後押し出来る取り組みをしていきたいと思うし、そういった暮らしがあるということをたくさんの人に知ってもらって、カフェに足を運んでもらえたら嬉しいです。

──素敵な里山で暮らす楽しさを教えていただき、ありがとうございました。

水谷円香さん(内子町)

内子町地域おこし協力隊

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