西予市地域おこし協力隊 シーバース玲名さん(西予市)

──今回は、西予市野村町で活動しているシーバースさんにお話を伺います。

──『竹あかり』イベントを開催した、と聞いてきたのですが、普段はどのような活動をされているのですか?

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 現在(2020年10月取材時)は地域おこし協力隊に任命されていて、所属は「野村地域自治振興協議会」でNPO法人のIT担当としてもサポートしています。

──『竹あかり』はいつから開催しているのですか?

 今年の7月に初めて開催しました。

 2020年の東京オリンピックが決まったときに、全国的に竹あかり演出に取り組んでいらっしゃる熊本の「ちかけん」さんが発起人になって、日本中で竹あかりを灯して日本のオリンピックをみんなでおもてなししようという動きがありました。豪雨災害の復興支援で野村に来てくださっていた徳島の竹あかり職人さんを通じて、地域おこし協力隊の前任者である山口聡子さんから去年の10月くらいに声をかけて頂き、野村地区でも竹あかりを作ってもらったのがきっかけです。

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竹あかりイベントの様子

──あかりは電気ですか?火ですか?

 一部は火ですが、組んであるほとんどはLEDで点灯しています。点灯式も一つ一つだと時間もかかるし、コロナで密にならないためにも、人がいるときだけでなく人のいない夜中にも見に来ていただけるように、ほとんどがLEDで点灯しています。7月23日から約2週間点灯していました。

 私の活動としては「竹あかり」がメインではなく、協力隊になった当初から野村町でゲストハウスを立ち上げるというのがあるんですが、今回の活動で『作る』ということを通して「人」を発掘できたなと思っています。

 たとえばこの「竹あかり」を作ってくださっている中筋地区の方はこの活動をするまでお会いしたこともありませんでしたが、「竹あかり」の活動は「できる人」、「やりたい人」が集まるきっかけになったんだな、と思いました。ゲストハウスを一緒に作り上げていける人と出会えたことは大きいなと思っています。

──どのようなゲストハウスに?

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 物件は今募集中です。町中に「空き家募集」のポスターを貼っているのを見た方が何人か声をかけてくださいました。空き家を活用するため、実際その地区に住んでいない大家さんたちは「地区の人に理解を得てほしい」ということで、地区の常会や役員会でゲストハウスのことやなぜやるべきなのか話をさせて頂きました。「知らない人が出入りすること」に対する不安が大きかったので、ただそこに泊まるだけではなく、地域の人の困りごとや草刈り、手伝いなどの依頼とのマッチングを出来るゲストハウスをやっていきたいという説明をさせてもらいました。

──なるほど。ただホテルのように泊まるだけではないんですね。

 今回よかったのは、たくさん空き家を知る機会を得たことです。空き家バンクにも登録されていない物件がいっぱい出てきて、持ち主の方ともだいぶお話しができました。それに合わせて「空き家を知る会」というワークショップを開催しました。空き家を歩いてもらって平面図にどこが何になったら面白いか、というのを一緒に考える活動です。引き続き今後につなげていきたいなと思っています。

──すごく情熱を感じます。

 自分のライフワークとして、持続可能とか環境とか、「先のことを考える」ということをやっていきたいと思っています。街づくりやそれ以外のことでも目先の利益で物事を決めてしまう事が多いですが、地域づくりは今生きている時代だけでなく、先のことを考えてやっていかないとお互いに損をすると思うんです。

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 「竹」という素材にもそういう要素があるかなと思っています。たとえば「ランプ」もプラスチックで作ってしまうといずれゴミになって地球には返せないけど、竹で作れば竹チップにかえて自然に返せる。ずっと使っているとヒビが入ってしまってそれ自体はだめになるけど、また竹を切れば環境を守っていけます。

 私が災害を通じて野村に来たことは、環境のことともかかわっていることを発信していきたいと思っていて、その中でも竹とか空き家活用のことは密接にかかわってくると認識しています。

──そもそも、なぜ野村に来たのですか?

 子供のころから国際協力機関で働きたいという夢があって、大学では異文化コミュニケーションや紛争の研究をしていました。絶対NPOに入りたいと思ってインターンを経験後、NPOに関連する広告を支援する企業に勤めていました。2018年6月末に鬱になってしまい退職したんですが、その1週間後に西日本豪雨がありました。仕事で関わっていたNPOで愛媛に関係のある方がいて心配になってご連絡したら「これから調査して来週くらいに愛媛に行くんだけどドライバーがいなくて探してる」と聞きました。実はちょうどその1年前に自動車の免許合宿で香川県の観音寺に滞在していたんです。そこで仲良くなった友達に松山から合宿に来ている子も多く、彼らに連絡をしたら、被害のあった大洲の友達と連絡が取れないという話を聞き、なんだか他人事じゃないなと思っていたところでした。そこでドライバーの話を聞いて引き寄せられてるなと感じて、完全に初心者マークだったんですが、神戸から愛媛まで四駆を運転してきました。

──初心者マークで長距離移動!しかも初めての場所で!

 それが最初の支援に来たきっかけで、その後責任者を任されました。初めは宇和島の吉田町をメインに活動し、水が出ない期間に高齢者世帯へ水や体をふくシートを配布する作業から入って、その後、宇和島と野村に入るようになりました。 この地域づくり系NPOも乙亥会館の地下にあったのですが、全部水に浸かってダメになり、事務用品をうちの団体で全部そろえて、その辺りからここに関わるようになって、気づいたら飲み会にめっちゃ呼ばれてる!という状態になっていました。

 野村には「サシアイ」という文化があるんです。小さめのグラスがどのお店にもあって、まず自分のグラスを飲み干して、そのグラスを相手に差し出して(サス)、一杯飲んでもらいます。で、また相手から返杯してもらいます(ササレル)。そういう飲み方があるので飲み会でも隣の人だけじゃなくいろんな人と「サシアイ」してみんなとコミュニケーションがとれます。

──言い回しはちょっと怖いけど、楽しい飲み方ですね。

 飲みの席で災害の話や本当に困ってることを聞けることが多かったです。災害があったから困ってるだけではなく、もとからあった問題がたくさん出てきてるなと思いました。もともと元気な地域だけど、動ける人がいない。だから協力隊の募集をしてて、人がいればできることがあってみんな知識も行動力もあるから、一緒に何かやりたいなとワクワクしていました。そうやって吉田町ともつながりはありつつ、野村に拠点を移して家を借りて、事務所兼自宅という感じでスタートしました。

──最初はどんな印象でした?

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 野村はこの4,000人くらいの小さな地域の中に、20-30軒近くの飲食店があるんです。水害前から廃れてきて減ってもいたんですが、お店を閉めた場所に新しい店舗が入ったりして、この2年ほどで4軒増えていたり。「お酒」というキーワードはすごく大きくて、私もお酒好きだし、飲んで夜を味わって地域の人の良さがわかるな、と感じたんです。それだと泊まれるところがないとだめだな、と。

──お酒をのんだら泊まっていきたいですもんね。

 でも今ビジネスホテルが1軒しかないんです。泊まれるところと紹介するところが欲しいなと思って、周りに話したらぜひやってほしいといわれて。ゲストハウスをするために残りたいです、という話をしたら、協力隊というやり方があるよ、野村は個人事業主型だからかなり自由にできるし、自分のしたいビジネスの準備を早くからできるからと教えてもらい、協力隊になりました。今日でちょうど協力隊になって1年なんですが、協力隊になる前から来ているので、そこはありがたいなと思っています。

──なかなかアグレッシブだなーと感心しているのですが、ちいさなころからそんなに活動的だったんですか?

 実はもともとは行動できないタイプだったんです。頭でっかちで慎重派で、夢はあって勉強して準備はしてたんですが、いざお金をためて海外に行くとか実際に行動することが一切出来てなかったんです。でも災害支援に行く決断をして、愛媛に来たというところから人生が完全に変わりました。2年前にその決断をしたことは自分にとっては海外に来たくらいの感覚でした。

 それと、田舎に来ておっちゃんたちに囲まれると、20代って赤ちゃんみたいで出来なくて当たり前なんで「助けてください」って言いやすいんです。東京で働いてると「なんでこんなことも出来ないの?」という目で見られてると思い込んでて周りに助けを求めることが出来なくて、それが原因になって「もう仕事なんてできない!」っていう状態になっていたので、こんなに大事にしてもらえるという環境はみんなに伝えたいです。今はとてもいい環境にいさせてもらってるんだな、と思っています。

──読んでくださる方に伝えたい「野村のよさ」は?

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雑談の中でおすすめしてもらった
野村銘菓「巻ようかん」

 野村の魅力は「人」だと思います。人間として大事にしてくれる、当たり前だけど挨拶することとか、会ったら話をするとか、飲みに誘ってくれるとか、生きているだけで大切にしてくれる。そういったコミュニケーションが自分の自己肯定感につながっていると思います。

 野村で「ぞえる」という言葉があって「ふざける」という意味ですが、野村っぽい言葉だなと感じます。野村はいい意味で子供っぽい人が多くて、本気で遊ぶ人が多いです。ちゃんと人生楽しんでる感じが好きで、私が鬱になったころは自分の仕事だけで精いっぱいで人生楽しんでなかったなと思います。

 野村は観光地ではないと思っています。観光地ではないけど野村で過ごす時間を経験してほしい。ゲストハウスは「暮らすように泊まる」と言われるけどその感覚を提供できる場所にしたいです。ここで一緒に「ぞえ」られる仲間が増えていったらいいなと思います。

──今日は熱い思いをたくさん聞かせていただいてありがとうございました。

シーバース玲名さん(西予市)

西予市地域おこし協力隊

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